ライナー・フォルケリー氏は、家具製作所に未来への基盤を築きました。新しい施設への移転によって、拡張のためのスペースができました。彼は、そのスペースを使って、新しい技術を導入。その第 1 段として、パネル切断加工が刷新されました。技術面でのパートナーである HOMAG は、パネル分割鋸と単軸フィーダーの省スペースな組み合わせを提供しました。
すべての始まりは 2006 年でした。当時、家具職人マイスターを取得したばかりのライナー・フォルケリー氏は、ミュンスター近郊にあるオストベーヴェルンの両親のガレージで製作所の経営者として独立しました。それからすぐにより広い敷地へと移転したことにより、彼のチームには二人の職人が加わり、機械設備では、標準的な機械の他に、縁貼機と CNC マシニングセンターが早くも導入されました。
次のステップはこの春のことです。従業員が 15 人 (そのうちの 4 人は現在見習い工) に増えていたチームは、新しい敷地への移転に伴って、以前より 3 倍も広い総面積約 1000 m² のスペースを手に入れました。「これによって、新しい時代がスタートしました」と家具職人マイスターのフォーケリー氏はコメントし、「今や、私たちは一歩ずつ未来に向けて準備を進めています」と続けました。
持続可能性に真摯に取り組む
この製作所では、大部分が板材を加工しています。しかし、無垢材やベニアも重要な役割を果たしています。ライナー・フォーケリー氏が重視しているのは、持続可能性です。この点に関して、彼は真摯に取り組んでいます。材料や供給業者の製品がどこから来たものであるのか知りたいので、個々のケースについてもそれを積極的に質問します。サプライヤーについても、この観点から選択しています。ライナー・フォーケリー氏の場合、ここで納得のいく形で由来を明確に示せないサプライヤーは悪い評価を受けます。
無垢材の場合は、地域性を重視します。この家具製作所では、ほぼすべて、自社で乾燥させて切断した地元産の木材を加工しています。フォーケリー氏は、「私は、その家具が製作された木について、真実のストーリーをお客様に伝えることができます。そうした情報はお客様に喜ばれるのです」と話します。
ショールームでは多様な技術力を紹介
現在、小規模ながら非常に洗練されたショールームが装備され、完成間近となっています。このショールームでは、例えば高品質の家電製品を備えたキッチン、無垢材の家具、考え抜かれた照明技術など、幅広いラインナップが展示されています。ここでは、卓越したデザイン能力が一目瞭然です。さらに、Raumplus や Miele の製品も取り扱っています。
ライナー・フォーケリー氏は、社内における上下関係を撤廃しました。ここでは、全員が対等な立場で話し合い、緊急の場合は、社長自身もすべての機械を操作することができます。基本的にライナー・フォーケリー氏が携わっているのは、顧客獲得、設計、そして個別の家具や内装の計画です。生産準備 (AV) では、二人の経験豊富な同僚が彼をサポートします。ソフトウェア面では、パレット CAD ならびに業界向けソフトウェアPinncalc を使用しています。
計画後、AV は、それぞれのプロジェクトフォルダと部品リストを、職人に渡します。職人たちは、それぞれ専用ワークステーションで CNC データのプログラミングを行い、製造現場での調整、客先での組み立てに至るまで、その注文について全面的に責任を負います。
ネットワークと職人技を強化
ライナー・フォーケリー氏は、信念に基づくネットワーク構築者です。この点に関して、彼が重視しているのは、職人技とその利益を常に念頭におくことです。彼は、「産業を推進するのではなく、私たちの技術力を強化すべき」と考えています。つまり、家具職人の仲間同士でネットワークを構築し、支え合うことが大切であり、工業向けサプライヤーに発注すべきではない、という考え方です。それは職人の技術を損ない、長期的には弱体化させることになります。彼は、職人技の中にできるだけ多くの価値が残ることを重視しています。例えば、洗練されたソリューションを一括して最終顧客に提供するため、浴室のプランナーや衛生設備の専門家と協力しています。
別のアプローチは、家具職人の仲間との協力です。パネル加工における現在の技術力が大幅に拡張されたおかげで、切断から、縁貼り、CNC 加工までをサポートすることが可能になりました。逆に、彼は、自分の家具製作所の中核となる分野に含まれない領域では、他の家具職人仲間たちの能力も積極的に活用しています。
生産性が 4 倍に: パネル切断の新しいレベル
新しい施設への移転とそれに伴うスペースの拡大に伴って、ライナー・フォーケリー氏は、新しいパネル分割技術への投資を決意しました。古き良き垂直鋸に代わり、HOMAG のパネル分割鋸 SAWTEQ S-300 (切断長さ 4,300 mm) と新しい単軸フィーダー STORETEQ F-100 のカスタマイズされた組み合わせが導入されました。この組み合わせは、パネル分割鋸の隣にほんの僅かな追加スペースしか必要としません。そのスペースには、分割するパネルが用意されます。次に、パネルは、真空吸着パッドによって全自動で鋸に送り込まれます。このプロセスは、鋸での分割プロセスと並行して行われ、中断のない作業を可能にします。
結果的に、この投資により、パネル切断の能力は 4 倍になりました。さらに、機械のオペレータにとってワークフローが非常にスマートなものになり、負担も軽減されました。インタビューの中で HOMAG ファンであることを明かしたライナー・フォーケリー氏は、性能に非常に満足しています。
考え抜かれた一貫性のあるワークフロー
家具や装備品の計画がパレット CAD で完了すると、部品リストは切断最適化ソフトウェア Cut Rite に送られ、最終的な切断図面が加工のために鋸制御装置に提供されます。
単軸フィーダー STORETEQ F-100 も同様に、鋸制御装置 CADmatic によって制御されます。つまり、ユーザーは、スタートボタンを押すだけでよく、プログラミングを行う必要はありません。ライナー・フォーケリー氏の製作所では、決められたスタックで、すなわち加工順序に従って業者からパネルを供給してもらうことができます。従って、このスタックを鋸の横に置くだけで、切断プロセスを開始することができます。このとき、オペレータアシスタントシステム intelliGuide Classic は効率的な作業を行います。つまり、切断ラインのカラー LED バーが、分割プロセス全体にわたってオペレータを確実かつ直感的に誘導します。これはまさにスマートで完璧だと言えるでしょう。素晴らしいことです。
ライナー・フォルケリー氏とそのチームによる次の最適化ステップがどのようなものになるか、期待が高まります。私は、おそらく Schopfloch 製のリターンシステム付き縁材加工システムであると思います。この件については、もちろん、引き続き注目していきたいと思います。
専門誌 BM (12/25) の記事 | 写真およびテキスト: BM 編集長 クリスティアン・ネルデマン www.bm-online.de