職人を生み出す場所

2023/07/01   |   Linz   |   オーストリア

年間、何万もの人がその広く細分化された訓練コースを利用しています。その成果の根拠は、一貫して実践的な形式にあります。HOMAG の 5 軸マシニングセンターもその表れであり、これで家具職人や家具職人マイスターの訓練が行われます。 

2021 年に WIFI (経済支援機関) は HOMAG の「CENTATEQ P-210」への投資を行いました。旧型の 5 軸機を交換する必要があったのです。つまり、新しいマシニングセンターですぐにいくつかのステップを進める必要があったということです。そうして、一連の要件すべてが協議にかけられました。基本的に、リンツにある木工分野の多くの機械には幅広く高品質機械が装備されています。訓練生のことを考えて、責任者は技術を常に最新の状態に維持する努力をしています。このような背景を踏まえたときに、CENTATEQ の構成は WIFI の全般的な訓練構造に合っていました。また、木工分野の特殊な要件を満たすこともできました。主なポイントは、そこから柔軟性と加工の幅広さが生まれ、特にオペレータの安全性とプロジェクト遂行時の短い工程も実現されたことでした。具体的にそれはどこに現れているのでしょうか？これについては、WIFI のコンセプトを理解する必要があります。 

経済のために経済から 

WIFI リンツは、二元的職業訓練から MBA まで幅広く提供する企業です。木工分野では、主に職人およびマイスター育成の一般に認められた修了資格取得コース、また、受講者にエキスパートとしての認定証明が与えられる CAD、CNC、インテリアデザイン講習などの特殊コースが提供されています。2020 年から 2021 年にかけて、WIFI は 9600 以上のコース、セミナー、講習を開催し、それらを約 87,000 名が受講しました。そこで優先事項となっているのは常に、講習の内容と方法が実践重視のものであることです。「私たちは需要のあるトレーニングを提供し、経済のために経済が求めるものを扱っています。」と、木工分野のリーダーである Christian Hintersteiner 氏は強調しています。「そのため、決まった訓練計画はなく、現在必要とされていることを取り上げています。継続して市場に目を向けることにより、どこでどのような職人が求められているかを把握しているので、適切なコースを提供できます。」 

Hintersteiner 氏が責任者となっている木工分野では、家具職人、家具製作技術者、家具職人マイスターの訓練が行われていますが、大工、塗装技術者、塗装工、船大工、モデラー、床職人の訓練も行われています。ここでも目的は、認定を伴う修了過程や継続教育です。全体としての需要は大きいどころか、実際の訓練の数よりもはるかに大きいと Hintersteiner 氏は話しています。「職人不足は、特に中堅クラスにおいて切迫しています。」と、その理由を挙げています。「そのため、幅広い知識と能力を授ける多くの訓練と修了過程を可能な限り短期間で提供することが私たちに求められているのです。」 

部品を生み出す場所 

木工分野においてマシニングセンターが広範囲にわたる加工を可能にする必要があること、高い柔軟性と複雑な加工の可能性を両立しなければならないことは、このような背景を見れば簡単に想像できることです。そのため、この 5 軸機は WIFI にとって間違いのないものでした。HOMAG は、出力 12 kW の液冷式「DRIVE5CS」スピンドルによってこの主要ポイントを押さえました。CENTATEQ のドリルユニット「V12/H4X2Y」は 18 本のスピンドルで動作し、そのうち 12 本は垂直方向、4 本は水平 X 方向、2 本は水平 Y 方向です。ここでは 0 から 90° まで旋回可能な直径 125 mm の溝鋸も使用できます。「X 方向に一緒に移動する 14 連プレートチェンジャには、直径 300 mm までの鋸刃も収容することができます。」と、Homag オーストリアのアカウントマネージャーセールスである Manuel Nöbauer 氏は伝えています。「さらに、この機械にはツール収容部が 10 個あるリニアチェンジャが装備されていて、350 番台の刃を準備することができます。」競合社の先代の機械には自動コンソールテーブルが装備されていましたが、この新しいコンセプトでは手動の仕様が採用されています。「このテーブルは多様な要件をはるかに良好な形で満たすことができるからです。これは特に、シーリングレーザーによって支援されます。」と、Nöbauer 氏はその理由を話しています。「テーブルの 2 回路バキュームシステムにより、真空吸着パッドをコンソール上の任意の位置に配置できるため、多種多様な部品を確実に固定することができます。その際、LED 位置決めガイドによってすばやく正確な調整が約束されます。」シーリングレーザーはクランプ装置と部材の輪郭を投影して、部品の簡単な配置と高い利用度を実現します。「特に訓練においては、受講者がルーター輪郭と吸着パッドの輪郭を見ることが重要です。そうすることで作業が安全なものになります。」と Hintersteiner 氏は強調しています。「多くの受講者が CENTATEQ で作業し、多種多様なプロジェクトを遂行することから、結局は、吸着パッドを柔軟に配置できる手動コンソールテーブルに決定することとなりました。」この場合は、2 回路バキュームによってテーブルハーフの個別制御と加工タスク間の往復動作が可能になります。できるだけ静かな環境で訓練を実施できるように、バキュームポンプは両方とも機械の下のセラー内に設置されました。130 m³/h の総合的性能に関しては、現在は作業タスクに応じて別個で使用することもできます。特に、この中央潤滑機械にはチップベルトが装備され、これによって残材とチップの確実な除去が可能になっています。 

安全性と短い過程 

さまざまな資格レベルの大勢の人に使用されるマシニングセンターが厳しい安全要件を満たさなければならないのは明らかです。それには、WIFI 側でその問題を物理的に解決する仕切り壁だけでなく、ソフトウェア側の予防措置なども該当します。「そのため、私たちにとって高性能の衝突管理は当然ながら不可欠でした。」と、この分野のリーダーは強調しています。このツールは「woodWOP」の全装備に対応しています。それには特に、5 軸加工のシミュレーション用の「woodMotion」や、3D モデルのインポートおよびルーター加工経路の自動生成用の CAM プラグインが該当します。WIFI がそのソフトウェアを使用できるのは、広いスクールライセンスに関してだけではありません。職業学校は修了試験の際に woodWop で作業を行うため、訓練と試験のつながりはさらに強くなります。「HOMAG は非常にコンパクトなパッケージを提供しています。」と Hintersteiner 氏はまとめています。「機械、ソフトウェア、そしてツールの間の過程が非常に短く、そのことが特に学校や試験で有利に働いています。」 

訓練における必須事項 

日々の業務でよく見られるのはどのような成果なのでしょうか。「最重要コースの 1 つは家具職人マイスターになるためのコースです。私たちは受講者の試験に向けて最善の準備をしています。」と、この分野のリーダーはその質問に対して答えています。そのために受講者は全員、難易度が指定されている課題作品を製作しなければなりません。その作品は許可委員会によって検査され、提出されます。「どの作品でも CNC が使用されるため、その実施においては必ず CENTATEQ が関わってきます。」と Hintersteiner 氏は話しています。修了試験でも CNC 加工は必須事項となっています。そのため、訓練プログラムには例えば CNC を重視した家具製作技術者のプログラムがあり、そこでは試験課題として CENTATEQ で部材を製作します。そのような作業を実施する際は、マイスターなどの作業者に多くの自由が許されています。「自己判断で CENTATEQ に向かい、何をどのように加工するかを決定します。そこで私たちは妨げるようなことはしません。」と Hintersteiner 氏は説明し、ウインクしながらこのように話しています。「そのために衝突管理があるのです。私たちは最後にもう一度見てみるだけです。」いずれにしても、受講者は CENTATEQ ですぐにコンディションを整えられます。訓練時に HOMAG の機械で作業することがよくあるからです。主要なユーザーインターフェース「powertouch2」は、他の機械ですでに頻繁に使っているものです。  

プログラミングから製作までの短い過程、加工時の柔軟性と安全性、ソフトウェアの一貫性、加えて、自己判断で複雑なプロジェクトを自ら遂行できることが、WIFI にとって CENTATEQ を使用した現在の作業で重要な要素となっています。このような特性によって、CENTATEQ P-210 自体が職人を生み出す場所となっているのです。